martedì 23 febbraio 2010

Orgoglio

長いこと料理を作る仕事をしていますと、
実に様々な新人さんや、血走ったような
人たちを教育する場面にぶつかります。
若いなりのエネルギーはとても大切なことですし、
それを威圧でもぎ取ってはいけないと思います。

ただ、僕が料理の仕事をしてきて、非常に厄介だなと思う人は、
ろくに経験もないのに『頭だけで先に知りすぎる人』です。
経験が浅い割りに、理想や知識ばかりを先に持っている人の多くは、
素直さに欠ける場合が多いような気がします。
それはイコール、わかったような気持ちになっている人です。
過去にそういう人たちは沢山いましたが、
皆、すぐに辞めていきました。
そういう人に限って、僕はコレは知っている、俺はあれを知っていると
言いたがるものです。
言わなければわかってもらえないと思っているからです。
でも、仕事中の動きを見ていればすぐにわかります。
経験の長い人から見れば、すぐに見抜かれます(笑)
あえてこちら側から、いちいち口に出さないだけです。

知っていることと、わかっていることとは根底的に違います。
また、知識と人格は次元が違います。

やはり、わかっている人のほうが、非常に謙虚ですし、
素直な人が多いように思います。
「弁える」という言葉がありますが、本当にわかっている人は、
弁えがしっかりとしているように思います。
そういう人は非常に早く伸びますし、
失敗をしたときも逆境に負けることが少ないように思います。

知的で、センスがあり、謙虚であり、素直で本当の意味で強い人。
そうした上で知識と品格を備えた人であって欲しいなと思います。

さて、僕が新人のころの体験を話しますと、
僕は、イタリア料理を始めようと思ったときに、
沢山の資料などを集め、準備をしていました。
それは自分が目標としているシェフのレシピ本だったり、
所謂うんちくなどが載っているような専門書です。
もちろんそのおかげで、沢山のことを知ることができました。

しかし、実際に入った店はそのシェフではない店でした。
現実的に、いつでも誰でも入れる世界ではありませんでした。
その適わない部分に悶々としていることもあったのですが。
そして、実際に入った店はそのシェフのやり方とは
違う方法をとっていました。

ある時、僕が「まかない」を作ろうとして、
下ごしらえをしていたら、横から『そうじゃなくてこうだろ!』
と先輩からやり方を直されたことがありました。
なぜ、ここで塩を入れるのか?
なぜ、火加減がここでは強火なのか?など。
僕はそのことに非常に納得がいきませんでした。
実は、まかないというのは、新人にとって唯一実力が
試せるチャンスなんです。
よし、この機会にと、
僕は目標としているシェフのレシピ本と同じように作っているのに、
先輩はその本と違うことを言ってくる。
そして、実際に直されてしまう。
(僕の目標としているシェフとやり方が違う・・・)
そういうことが、嫌で仕方がなかったんです。
そうすると今のこの店のレベルまでもが
とても低いような気まで、してきてしまいます。

やはり自分にも、こんなシェフのようになりたいな、とかって
ずっと目指していた目標とするような人たちがいましたので、
そういう人たちのやり方でなければ、
美味しくないとか、ウケが悪いとか、勉強に
ならないとかいう先入観があったんですね。
なかなか素直にそのお店に馴染むことができませんでした。
いま思い起こして見ても、
何てものごとを知らないヤツなんだと思いますね。
実際にその時の自分は、
大きな成長がなかったような気がします。

僕は後になって、
それぞれの店にはそれぞの店の意味がある。
そういうことがとても大事なことなんだと気づきます。
例えば、アサリを使ったスパゲッティ。
シェフによっては、にんにくを入れる人と、入れない人がいます。
フランベする人ととしない人もいます。
つまり、
『にんにくを入れない=アサリの風味をストレートに出すシェフ』と、
『にんにくを入れる=アサリの風味を違う角度で引き立てるシェフ』。
『フランベすると焦げた風味が加わるので嫌がるシェフ』
『フランベすることで、風味にコクが生まれると考えるシェフ』
皆違います。
でも実は両方美味しいし、
それが店の味だったりします。
僕はその両面を知ることではなくて、
片面だけにこだわっていたんです。
僕の知らない部分のことは全て劣っているような錯覚みたいな
ものも結構ありましたよ。
僕は非常に傲慢です(笑)

そして、ある時に僕はそのことに気づきます。
それは、全くジャンルの違う僕にとって全くの無知な
天ぷら割烹の店をやらなければならなくなったときでした。
僕の知人の店で、当時の料理長が倒れたしまったんです。
そこで、急遽僕が呼ばれたわけです。
もちろん専門的な割烹料理なんて全然わかりません。
だからもう必死ですよ。
何でも素直に言われるとおりに忠実に従いました。
まるで飼い犬のようでしたね(笑)
それからその店は一年もたたないうちに、
口コミで行列ができるようになっていました。
次第に、よその旅館の料理長が教わりにきたり、
周りの店が競合店となっていきました。

素直なことほど強いものはないような気がします。
先入観が必ずしも正しいとも限らないし、
第一、何を根拠に正しいとしているかなんて、
例えばなんで地球があるのかを考えるように、
簡単にわかるものではないと思います。

新人として大事なのは、
いろいろな先入観を表に出さず、
まず、
店それぞれの考え方を素直に学ぶべきだと思います。
それは反面教師的なことも含めてです。
そして、何があっても、ふてくされた顔は絶対にやめるべきです。
それで一番損をするのは自分ですから。
広い視野の持てる、一流のプロ意識を持っていただきたい。
それが本当のプライドだと僕は思います。
その姿勢を示すことが、やがて社会で認められる
大きなきっかけにもなると思います。

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